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一つの節目

昨日は3人で過ごす最後の夜。
カタリーナとヤコブの3人で夜ピッツェリアにピザを食べに行きました。
イタリアに来てから「寂しい」とい気持ちの部屋に鍵を掛けるようになって
遠く離れているもの、去っていってしまうものをなるべく恋しがらないように
していたんですが、それでもこの日を迎えるまでの数日間、確実にじわじわと
寂しい気持ちが膨らんできていました。
この家は何だか問題もいろいろあったけど、今となると浮かんでくるのは
楽しかった思い出ばかり。発つときってこういうものですよね。
明日からカタリーナはもうPerugiaにいないし、二人でヤコブをからかうことも、
寝る前にベッドにもぐりこんで温めたワインを一緒に飲むこともなくなるわけです。
寂しくなるに決まってます。
「明日の朝、私も早く起きるよ。駅まで見送りたい。」
と言うと、カタリーナは初め悪いからいいよって言っていたけど、
しばらくして「本当にいいの?すごく嬉しい」って笑って、それからいつも彼女が私に
くれる言葉を繰り返しました。
「Sei il mio tesoro.」(あなたは私の宝物)
初めて言われたときは、それは恋人同士が使うんじゃ・・・って
思ったけど、彼女は「Grazie」の後に、よくこの言葉を使うんです。

朝起きるともうカタリーナは起きていて、最後の荷造りをしていました。
カフェオレを作って手渡すと荷造りが終わったらしく、
腰掛けてこの1ヶ月を反芻してるのか、ぼんやりとベッドを眺め、
それから静かに「ここを発ちたくない」とポツリ。
それを聞いて、「本当に行っちゃうんだなぁ」と私もうつむいてしまいました。
駅まで歩いて15分。列車の出発まで10分くらいあったけれど、
一月毎日一緒にいた友達とのお別れの時はあっという間にきて、
最後はやっぱり泣いちゃいました。

駅から家まで戻る道は、一本道で紅葉した街路樹が続いています。
冷え込んだ朝の空気の中を、まぶしいくらいの朝日が紅葉した枝葉を透けて
一本道の地面を照らしていました。いつもの静かな朝の風景を見つめながら、
昨日までとまた違う毎日が今日から始まることを感じていました。

本来ならきっと不安で一杯のはずの1ヶ月目。
カタリーナとヤコブとの3人の生活は、30日間一日一日がTesoroでした。
by dolcissimokurobe | 2007-11-01 12:06 | La vita in Italia
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