エリカとアンシン

ここイタリアに来てから、多分一番長く、多くの時間を一緒に過ごした友達が
ペルージャを発った。
台湾出身のエリカと中国出身のアンシン。
二人とも、去年の10月、大学に通い始めた時からのクラスメイト。
まだあの頃のレベルだと、大概クラスメイトも同じ言語で話せる者同士で固まることが
多くて、クラスに日本人がいなかったせいか、最初の数日間、
こんな私でも実はちょっと寂しいと感じることがあった。

「ドラえもんのしずかちゃん」と話しかけてきてくれたのが親日的な台湾の女の子達。
その中の一人がエリカで、自他共に認める単語マニアな彼女は、本当によく沢山の
単語を知っていた。私がここペルージャで一番単語の勉強になったのは彼女との会話だと
確信しているくらい。「静香の前でだったら話せるけど、イタリア人を前にすると
怖くて話せない」と恥ずかしがり屋な一面もあるかと思えば、私の危機に身体を張って
守ってくれたこともあった(笑)。私にとって、ここペルージャで一番話をした相手が
彼女だと思う。真面目な勉強や人生の話もほどほどに、恋の話も、お腹がよじれるほど
笑いが止まらない思い出話も、本当にいろんな話を彼女とした。
私のペルージャ留学生活のほとんどを彼女は知っている。
私とエリカがつるむと、「とてつもなく子供っぽくなる」とアンシンは苦笑いしていた
けれど、そんなエリカでも、時折、迷っている私にはっと気づかせるくらい大人な意見を
口にするときがあった。おかげで何度救われたことか。

そして、アンシンを知ったのも同じ頃だった。
スラリと背が高く、黒く艶やかな長い髪で、清清しい立ち居振る舞いのアンシンは
群れず、頼らず、そして媚びない、安っぽく愛想を振りまいたりもしない。
人から何かをしてもらうのは苦手だけれど、人のためになることは進んで行動して、
いつも相手のことを考えている、本当に心の優しい女の子。
クラスでも、たまに見かける図書館でも彼女はいつも冷静な表情で、
まだお互い話したこともなかった私の滞在許可証の申請を手伝ってくれたときも
「授業サボらせちゃってごめんね」という私に、「そんなこと気にしなくていいから」と
隣で静かに黙々と進めてくれたっけ。確か、ちょうどペルージャで開かれていた
『ユーロチョコレート』という大きなフェスタで、お礼にとチョコレートを買い、
次の日学校で渡したら、彼女が初めて私に笑顔を見せてくれた。
いつも冷静な表情の彼女の笑顔は、柔らかで彼女の性格のように清清しくて
すごく綺麗だと思った。そして翌日、今度は彼女が私にチョコレートをプレゼント
してくれて、それから私達は友達になった。

妹のようなエリカと、お姉さんのようなアンシン。
二人から、沢山の思い出をもらった。
この二人が発つときに、何か手を掛けたものを渡したくて、
迷わず自分の服に鋏を入れ、新しい真っ白なTシャツに手作りアップリケを縫い付けて、
3人でお揃いなるように、3組改造Tシャツを作った。
ペルージャでの思い出も、私達の思い出も、ずっとずっと残るように。

ペルージャの街がたな霞で包まれた朝、エリカを見送った。
その夜、ベッドに潜り込んで目を閉じたら、いろんな思い出が蘇ってきて、
そしたらまた、涙が出た。
[PR]
by dolcissimokurobe | 2008-10-14 21:05 | La gente
<< 帰国の航空券取りました! 巡礼写真3 -フィニステレ岬- >>