私達が巡礼中お世話になったのが、この巡礼宿。
宗教施設や巡礼支援団体が運営している公営の巡礼宿と私営のものがある。 公営のものは、タダから最大でも8€。大概、3~6€と超格安。私営でも4~8€。 アコモデーションが他のヨーロッパ諸国と比べて、かなり低価格のスペインでも ペンションが30€はするから(ここで「HOTEL」というものは論外)、巡礼者が 痛い足に鞭打ってでも巡礼宿のベッドをゲットしようとするのが頷ける。 さて、部屋の具合はどんなものかというと・・・ ピンからキリまで(あくまでも低~いレベルの話。)あるけれど、私達が気に入った Foncebadon(峠の頂上)の巡礼宿は、山小屋風で、天窓付の屋根裏部屋にマットが 敷いてあって、巡礼者みんな一緒に床に寝る。修学旅行さながらで、なかなか風情が あってよい。Pamplonaの巡礼宿も改装したててで近代的で清潔だった。 それに対して、イマイチだったのがSamosの宿。宗教施設の入り口をくぐったらすぐ、 大きな部屋があって、まるで戦時中の病院のように鉄パイプの簡易ベッドがずらっと 並んでいる。ちょっと薄暗くて、ベッドも何だかベタっとして快適ではなかった。 Portomarinの宿も、一見綺麗なのだけど、部屋の中が所謂「男臭(3姉妹育ちなので あまり免疫がない)」で充満していて、湿気たっぷりのこの宿で奇妙な虫に食われ まくった巡礼者が大勢いた。 巡礼宿に男女の区別はなく、老若男女こったまぜでみんなが一緒の部屋に寝る。 おじさんのパンツ一丁姿も見慣れたし、振り向けば美女がTシャツを脱いでいる。 夜中のおじさん達のイビキは雷のようだし(らしい。爆睡中の私は何も聞こえ なかったけど)、カップル巡礼はベッドの上でキスの嵐。韓国人の女の子ミジョンは、 そのキスの吸い付く音で眠れなかったらしい。巡礼宿が大平鍋で用意してくれた 激うまパエリアも、イングランドの王子様風の青年の隣に座ってドキドキして 喉を通らなかったこともある。 でも、老若男女ごったまぜだからこそ仲良しになった巡礼者達と、 キッチンでみんなで一緒にご飯を作ったり、ギターを持ってきた巡礼者達が即興で 競演コンサートを始めて、年配の人達まで歌って踊りだしたりと、HOTELや PENSIONに泊まったら絶対味わえない楽しみが巡礼宿にはある。 しかし、巡礼路がゴールに近くなればなるほど、巡礼者の数が増えていくため、 ある問題が生じる。つまり、巡礼者の数は増えても、巡礼宿のベッド数は限られ いるということ。全員がサンジャン・ピエ・ド・ポーから始めるわけではなく、 コンポステラーノ(巡礼証明書)が発行される最少距離の100㎞地点から始める 巡礼者が多いのだ。こうなると、巡礼宿のベッドは争奪戦。血も涙もない戦いとなる。 私とあやちゃんはこの現象を「路上の友、宿の敵」と呼んでいる。Sariaあたりで 巡礼を始めたばかりのTシャツもリュックもスニーカーもぴかぴかの元気な巡礼者は 足取りも軽く、3つの峠を越えて、400㎞以上歩いて足がボロボロの私達をさっさと 抜かしていく。どんなに足が痛くても、休憩を長引かせれば、目指す目的地の巡礼宿 ベッドが一つ減る。そう思うと、おちおち休んでもいられず、足を引きずってでも 歩き続けることになるわけだ。 元気印の新巡礼者達に抜かされないためには、もう早起きしかない。巡礼終盤もう 疲れと痛みでヨレヨレでも、起床時間がだんだんPazzescoな時間帯になっていく。 5時に起きて(4時起きのもっと頭のおかしな巡礼者もいたけど)、真っ暗なトイレで準備。 両手に出した日焼け止めクリームを洗顔するように大雑把に顔にこすり付けてると、 隣で、道路工事の労働者のようにヘッドライトをして鏡に向かってコンタクトを 入れている巡礼者がいる。手に残った日焼け止めクリームをヘアワックス代わりに 頭にも撫で付けて髪を整えて、さあ出発。 6時前だから、外は真っ暗。懐中電灯を頼りに、満天の星空の下、あるいは濃霧の中、 おばけの出そうな(おばけ大嫌い。だから頭から寝袋をかぶってた。) 山道を歩き始めることになった。 巡礼宿ベッドをめぐる熾烈な戦いの厳しさを理解していない巡礼者達は、当然ベッドを 失い、キッチンや宿の門内(屋外)で眠る羽目になり、朝一番に宿を出発する私達が、 そうした床で眠る巡礼者達を暗闇の中で踏みそうになるのだ。 巡礼路と同じくらい沢山の思い出が残る巡礼宿。 巡礼者を証明するクレデンシャルがないと泊まれませんよ。え?泊まりたくない? 巡礼のあとは、巡礼宿のプールサイドの芝生でのんびり。 歩き足りないと言わんばかりに、部屋でさらに筋トレする巡礼者(信じられん!) 万国旗のように風にはためく洗濯物
by dolcissimokurobe
| 2008-09-17 19:08
| Il viaggio
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