スペイン サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼

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まだ日本でイタリア留学の準備をしていたころから、「巡礼」「巡礼」と
この単語を口にしていた私。去年、銀座の小さい映画館で上映された
「サン・ジャックの道」というマイナーな映画を一人で観にいったこともあった。
ここペルージャでも、友人達と夏の予定の話をしている時に
「夏は、スペインで巡礼してくる」というと、決まって友人達は
「巡礼?」と目を丸くしたり、イタリア人には「Pazzesca! 頭おかしいの?」と
笑われたり、アジアの友人などは、そもそも「Pellegrinaggio」という
単語すら馴染みがないようだった。仕方ないから、漢字で書いてみせたり、
イタリア語で説明して何とか分かってもらったけれど
残念ながら、本当に興味を持ってもらえたかは、かなり微妙な手ごたえだった。

でも、このサンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼路は、中世の頃から、
多くの敬虔なキリスト教巡礼者が歩いてきた由緒正しき道。
キリストの十二使徒の一人聖ヤコブの墓が見つかったとされ、サンティアゴ・デ・
コンポステーラは、ローマ、エルサレムと並んで、キリスト教徒にとっての
重要な三大巡礼地なのだ。近年では、サンティアゴ・デ・コンポステーラと
そこに続く巡礼路が、ユネスコ世界遺産に登録されて、世界でもさらに
その名が知れ渡るようになった。現在では、世界各国から多くの巡礼者が
巡礼路を歩くため、スペインに訪れている。

では、何故、スペイン巡礼に興味を持ったかと言うと、遡れば4年前。
仕事を辞めて、恋も失って、ヨーロッパを5ヶ月かけて、ふらふら一人旅
していた私は、長旅でそろそろ大都市や所謂観光地にちょっと疲れを
感じ始めていた。ふらりと立ち寄ったフランスの本屋さんで、手に取った本に
載っていた数枚の写真が、私の好奇心をかきたてて、そのまま眺めいって
しまったのだ。その写真とは、フランスの静かな山間にひっそり息づく小さな村。
簡素ながら温かみがにじみ出るようなロマネスクの教会を拠り所に、村の人々が
祈りを捧げながら静かに暮らしている。
政治、権力の要素を帯びたカトリックの中心地から遠く離れ、純粋な信仰心で
人を集める教会をいつか訪ねてみたいと、その時思った。
日本に帰国して、そうした村を調べてると、一つの共通点があって、
全て、サンティアゴ・デ・コンポステーラへと続く巡礼路上に位置
しているということだった。

フランスからの起点は4つ。パリから始まるサン・ジャックの道、
トゥールーズの道、ヴェズレーの道、ル・ピュイの道。これらの4つの道は、
スペインとの国境近くの町、サン・ジャン・ピエ・ド・ポーで一つになり、
さらにスペインに入ってから、もう一つのアラゴンの道と、最終的にプエンテ・
ラ・レイナで合流し、サンティアゴまで一本の巡礼路となる。
サン・ジャン・ピエ・ド・ポーから始めるのが、おそらく最もポピュラーで
合計距離は800km。ピレネー山脈越えがスタートとなる。とは言っても巡礼路は、
どこから始めてもいいし、仕事でなかなか休みが取れない人は、この道のりを
分割して、数年かけて達成している。
私達は、まずパンプローナから、合流地点のプエンテ・ラ・レイナまで歩き、
そこからブルゴスまでバスで移動。ブルゴスからサンティアゴまで歩いた。
こうすると、合計500km以上で、休みが取れた3週間で歩き切れる距離になる。

日本でイタリア留学を夢見ながら、同時にスペイン巡礼にも憧れ始めた私。
でも、イタリア留学だって行けるか分からないのに、スペイン巡礼なんて
夢のまた夢だと思っていた。他に行きたいと言ってくれる人もいないから
いつか遠い未来、一人で歩いてもいいとぼんやり空想するくらいだった。

それが、2年前の夏、東京のメキシコ料理レストランで、大阪から帰省していた
あやちゃんと夕食を食べていたとき。
「ねぇ、静香ちゃん。スペイン巡礼って興味ある?」
と、いきなり聞かれて驚いた。
興味があるも何も、ずっと歩きたかった巡礼路。
即返事でOKして、その後、二人の遠い未来のスペイン巡礼姿を想像しては
夜更けまで会話が盛り上がったことは想像に容易い。

こんな訳で始まった私達のスペイン巡礼の夢は、2008年の夏に敢行された。


「ねぇ、ねぇ。あやちゃん。
中世の時代、ここらへんで狼に食いちぎられた巡礼者がいたんだって。」
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by dolcissimokurobe | 2008-09-10 21:29 | Il viaggio
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