中部イタリア・ドライブ旅行

 ひょんないきさつから、17歳年上の女性と一緒に旅行することになった。

 今年の春まで同じ大学で学んでいた彼女。
彼女と同年代の、お母さんのように優しい私の友人が紹介してくれたのが始まり。
いつも自信とインテリジェンスを身に纏って、正直、私みたいな小娘なんて
相手にしてくれないような人だと思っていた。
意見を包み隠さず、きっぱりと言い切る彼女の言うことは正当で、
でも、自分でも本当は分かってはいるけれど、扉の向こうに隠して気づかないように
していたようなことも、彼女には見つかってしまう。
ずばりと言われた言葉が、胸に突き刺さって、涙になったこともある。
こう見えても割と頑固な私は、誰彼の言うことにすぐに頷くわけではなく
30歳なりの私の分別を持って、人からもらった言葉は、
正しい形で消化出来るように、必ず噛み砕くようにしている。
本来なら父が私に言うべき言葉を、これから私が向かうかもしれない道の経験者として、
彼女が代弁してくれていると思うようになった。

 彼女は、20代、30代、40代を、海も越えて、性別も超えて、世界に、男性に、
自分の可能性に、常に挑戦し続けながら戦ってきた人。
いつからか、父を見るような目で彼女を見ている自分がいた。
守るべきものをしっかりと守りながら、可能性や挑戦することに目を輝かせ、
アイデアのアンテナを張り巡らすことを楽しみ、
嵐が来ても、風雨に耐えて、いつだって顔を上げていようとする強さ。
そんな彼女が最も大切にしてきたものが、「人」だった。
フロンティアで戦い抜く中、善意で近づいてくる人ばかりじゃない。
宝石のような絆が切れ、またそこから別の絆の糸が伸びることだってあっただろう。
旅行最後の夜、二人でワイングラスを傾けながら、敬意に満ちた絆を大切に温めてきた
故人を偲んで流した彼女の涙を見て、そんなことを思った。
挑戦しなければ傷つかずにいられるし、涙を流さないで済む。
それでも、やっぱり彼女や父は、これからもずっと挑戦することは止めずに、
その道の上で、沢山の人に出会って、涙を流して、笑って、自分の足で歩を進めて
いくのだと思う。

 私たちがレンタルした車種は、小さな身体に機能を詰め込んだ小型のSMART。
とめどもなくお喋りを続ける私たち二人を乗せた玩具のミニカーのような
小さな車体が、トスカーナ州、マルケ州のどこまでも続く緑のパッチワークのような
草原の大海原の上を滑る。
 青の水彩絵の具を溶かした瑞々しい青空に、ゆったりとなだらかな曲線を描く
母の胸のような緑溢れる大地、花畑を飾る玩具の額縁のような糸杉並木。
イタリアの広くて温かい心に抱かれたようで、私は心から寛いで
もう一度イタリアに心底恋をした気持ちになった。
 
彼女にはイタリアが似合う。

 私の横でハンドルを握りながら、
「知らないことは、知ればいいだけのことだし、
やったことないことは、やってみればいいだけのことよ。」
と、あっけらかんに言う彼女の言葉は、私にとって大きなエールになった。
彼女といると、やってみようかという気持ちが湧いてくる。

一日目 ローマ→オルチャ渓谷        アグリトゥーリズモ泊
二日目 オルチャ渓谷→キャンティ地方    アグリトゥーリズモ泊
三日目 エミリア・ロマーニャ州フォルリにて 
    イタリアの製菓会社との商談(に同席させてもらいました)
    オペラ歌手のマエストラの家にごやっかいに 
    友人の農家の家でさくらんぼ摘み
四日目 →オジモ              アグリツゥーリズモ泊
    アメリカ人夫婦の35周年結婚記念日お祝い
    生まれて初めてホタルを見て、大感激!!
五日目 オジモ→ロレート→レカナーティ→マチェラータ
                      アグリトゥーリズモ泊
    最後の夜にふさわしく、美味しいお酒で完全に酔ってしまった。
     
[PR]
by dolcissimokurobe | 2008-06-25 18:00
<< 久しぶりの一人旅 Infiorate -Spel... >>